ウサギの肛門に赤いカリフラワー状の腫瘤が形成されることがあります。
ウサギの診療で、時折みかけます。外貌がとても特徴的なのでご紹介しようと思います。
出典:監修三輪 恭嗣『エキゾチック診療 Vol 20』
出典:Patrick Jacquazら,「Formation of cauliflower-like growths on the skin and mucous membrane of rabbits」
Q.病名は?
この腫瘤は、「直腸肛門乳頭腫(anorectal papilloma)」=パピローマと言います。
角化上皮細胞が腫瘍化したもので、肛門粘膜と皮膚の移行部あたりに形成され、このような赤く、肉々しい特徴的な外貌を呈する腫瘍です。
Q.怖い腫瘍ですか?
直腸肛門乳頭腫は、良性の腫瘍で、俗にいうと「イボ」です。つまり、腫瘍の転移や生存期間に影響への影響はありません。ですが、細胞の分裂スピードが速い特徴があります。そのため、かなり大きくなることがあり肛門の出口を塞いでしまい、排便に支障を来すことがあります。主に高齢になってから発生することが多いです。また、組織は脆く出血しやすいため、血尿や怪我と間違えて驚かれることもあります。
Q原因はなんですか?
腫瘍の発生原因は分かっていません。過去に、パピローマウィルスとの関連が指摘されいましたが、それを証明した報告がないのが現状です。また、ウサギからウサギに伝搬することはないと言われています。
Q.治療方法は?
良性腫瘍で自然に退縮することもあるため経過観察も可能ですが、基本的には外科的に摘出します。ポリープ状になっている腫瘍の根本を電気メスで切断します。手術時間は10-30分程度です。(経験的に局所麻酔で切除するケースもありますが、再発予防のため麻酔下で十分なマージンを確保して切除することをお勧めします。)
また、切除後に再発するケースもあります。
Q.鑑別診断
肛門ポリープ、直腸脱、炎症、自咬による肛門の瘢痕組織、その他の肛門腫瘍