チンチラ(齧歯目)の食事

チンチラの健康管理において、何よりも重要なのは”食事の管理”です。
正しい食事管理を実施するだけでも、胃腸に関連するトラブルの多くを予防することができます。なので、今回は、チンチラの食性について、ご家族に知っていただきたい事をまとめてみました✏︎!
耳が痛い話かもしれませんが(笑)、おうちのチンチラさんの食生活を少し見直す機会になればと思います😃。

野生のチンチラの食性とは?
 野生のチンチラは、南アメリカの山岳地帯に生息しています。標高は2000〜5000mの気温が低く、食べ物も少ない厳しい環境に適応して生きています。野生下では、木の茎・樹皮・根っこ・コケ・サボテンの実・ハーブなど、フルーツや豆系などに比べて栄養価の低い物を食べて生活しています

1多くの飼育下のチンチラの食性について
 飼育下のチンチラの多くが、本来の野生下では手に入らないような、エネルギー量の高いフード(ペレット・フルーツ・えん麦など)を毎日給餌されています。また、運動量も野生下より低いと考えられるため、栄養多過になりがちなのが飼育下のチンチラの現状と言えます

理想的な食事とは?
野生下での食事を完全に再現することは困難です。また、現在飼育されているチンチラは、人工的に繁殖された品種のみで構成されており、無理に野生下の食性に近づける必要もないと考えられます。ただ、本来の食性とあまりにもかけ離れた食事(穀物類やフルール類がメインのご飯など)は、肥満などの問題だけでなく、胃腸トラブルなどの健康被害をきたす可能性が非常に高くなります。なので、チンチラの食事の基本は”粗食”なご飯を給餌する事です

ペレットについて
給仕量の目安は、体重の1-5%です(600g)。体重の増減を見ながら給仕量は調節しましょう(1日の目安:およそ10-15g)。
ペレットの多給は難病の元ですが、ペレットを一切与えない食事管理もおすすめしません。(大手メーカーの)ペレットには、牧草では補えないカロリーやビタミン類が添加されており、飼育下では偏りがちな栄養バランスを整える役割があります。なので、少量でも給餌させる事をおすすめします。
また、乾燥野菜やフルーツが混ざったペレットもおすすめしません。美味しいものだけ食べてペレット自体に手をつけない個体が多いためです。

牧草について
牧草の給餌が飼育において一番重要です。牧草は、不断給餌(常に欠かさない)を心がけましょう。牧草には多数の種類がありますが、チモシー1番狩りをメインに給餌させることが理想的です。1番狩りを食べない・持病の治療中など、特殊な理由がある場合には、食べるものを優先的に給餌してもかまいません(マメ科牧草の多給はNG)。
また、チンチラは美味しい部分だけを食べてほとんどを捨てる傾向にあります。「牧草ほとんど食べない」とご相談される事が多いですが、案外食べているのかもしれません。
牧草を不断給餌されていない個体では、歯のトラブル(臼歯過長・う歯・歯周病など)が急増します。また、消化管内の細菌バランスを良好に保つためにも牧草は必須であり、牧草を食べない個体では排便の異常(便が小さい・量が少ない・盲腸便が多いなど)が頻発します。

トリーツについて
おすすめは、乾燥ハーブや野菜のトリーツです。栄養価も低く、多くのチンチラが喜んで食べます。ナッツ系や穀物類は脂質やでんぷん質が多く、チンチラの消化管に負担をかけるためおすすめしません(あげるなら少量にしましょう)。同様に、ドライフルーツなども少量を給餌するようにしましょう。

皆様のおうちのチンチラさんの健康と長生きをお祈りいたします🥰。
飼育相談や病気相談などありましたら、気軽にご相談ください。

参考資料
著:鈴木 理恵『チンチラ 完全飼育』.誠文堂新光社.2017年.
Animal Diversity Web .「Chinchilla Chinchilla short – tailed Chinchilla」.
URL:https://animaldiversity.org/accounts/Chinchilla_chinchilla.